2018年4月18日水曜日

注文の多い料理店



宮沢賢治の童話『注文の多い料理店』は、
猟に入った山奥で道に迷った若い紳士らが
山猫軒という名の西洋料理店を見つけ、中に入るところから物語は始まります。

「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください」

「ここで髪をきちんとして、それからはきものの泥を落してください。」

「鉄砲と弾丸をここへ置いてください。」

「どうか帽子と外套と靴をおとり下さい。」

店内には様々な注意書きがありますが、
その度ごとに、紳士たちは喜んで注文に従います。

奥で待ち構える山猫の真意も知らず、
注文があればあるだけ、その料理店を格式高いものと思い込み、
期待を募らせていくのです。

またそうすることで、
自分たちの見栄と教養も誇示できると考えているのかもしれません。

彼らは物ごとの価値をお金でしか測れない心の貧しい人間です。
連れていた犬が倒れても「じつにぼくは、二千四百円の損害だ」ですもの。
ヒマダコーヒーにいらして頂く方たちに、そのようになって欲しくはありません。

ただ、喜んで店からの注文に従う彼らを少し羨ましくも思います。

山猫軒に限らず、当店も少し注文の多い喫茶店だからです。

・出来るだけお閑かに
・無闇な写真撮影や立ち歩きはご遠慮を

など、決して的外れの、無理な注文ではないはずですが、
中にはなかなか守れない方もいらっしゃるようです。

注文が多いからといって、何も取って食おうという訳ではありませんし、
山猫のように目を釣り上げたくもありません。

ただ、こちらからの注文を、
店への期待と、互いの信頼関係として前向きに受け取って頂けたらと思います。


結局、紳士らを食べようと待ち構えていた山猫たちは
飛び込んできた2匹の大きな犬によって退治され、
山猫軒は煙のように消えてしまいます。

まさかヒマダコーヒーがそのように消え失せてしまうことはありませんが、
(倒産の危機は常にあるものの…)
それでも、ワンワンですとか、キャンキャンと言った声に、
店主は目を丸くして倒れてしまいそうになるのです。


借りてきた猫のように、とは言いません。

それでも、店内では日向で目を細める猫のように、
ゴロニャンと、少し声を潜めてお過ごしください。

「いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。お気の毒でした。」

山猫軒には、こうありますが、私としても全く同じ気持ちです。
そしてこうも思うのです。

「いや、わざわざご苦労です。大へん結構にできました。
 さあさあ おなかにおはいりください。」

少し注文の多い当店ですが、
よろしかったら、さあさあお中にお入り下さい。



            店主  −  猫よりは犬派























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